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「まぁ……っ!」 水族館で飼育している魚や動物達の大小のヌイグルミがずらりと並んでいる。 目がクリクリしていて、手触りも抜群だ。 「シロクマさんのは、ふっかふかでございます……っ。 なんと可愛らしいのでしょう……っ」 見本のヌイグルミをギュウギュウしている咲良。 その様子を見て、先客や店員が目を奪われた。 自分達とは色彩が違うということもあるが、兎に角目を引く。 膝下……、いや、くるぶし付近迄伸びた銀髪と緋色の瞳、中性的な服装。 何よりも、その容貌。 物語の世界から抜け出してきた雪の精かとさえ思える。 「アザラシの赤ちゃんもありますね、守弥さま」 ふにゃっと微笑む。 それだけで、その場がなごんでしまうのだ。 「気に入ったものがあれば、お土産で買うからな」 「よろしいのですか……?」 「ああ。咲良が一生懸命頑張ってくれたからと、ばあ様が軍資金をくれたしな。 結構分厚いぞ」 「…………おばあ様が……?」 「筆に関わる仕事を一手に引き受けてるだろう? 仕事に見合った報酬だ。 報酬をちゃんと貰っておくのも、仕事の内だ」 「…………は、はい」 ばあ様から預かった軍資金は、あくまでも咲良が得た報酬だ。 いずれ必要なものを用立てるためのもの。 お土産は自分のポケットマネーで買うことを、守弥は敢えて伏せた。

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