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「うちの人間はな、動物や小さくて可愛いものが大好きでな」 「…………?」 「あの顔合わせの日に、皆が生唾を飲み込んだのを覚えているか?」 「………………?」 「お前の顔を見た瞬間、両親も姉も弟達も、皆が心を奪われたのを知っていたか?」 「はい……?」 守弥の家族が心を奪われた……? 何に……? 「何に? 決まってる。お前にだ。 男だからどうした。背が低いのがどうした。 お前にとっては弱点や短所でしかないかもしれないが、俺たちにとっては健気な性質と庇護欲を掻き立てるものだ」 「…………?」 「もう既にお前は身代わりで来た客人じゃない。 かけがえのない家族のひとりになってる。 だから、道が繋がったとしても彼方には返さない」 「………………っ!」 ボフンと蒸気が吹き出してるのではないかと思うほどに、顔が熱い。 家族との縁が薄い筈の自分が、守弥たちから家族として思われていたのだと聞かされて。 嬉しい。 素直に嬉しい。 「だからな、約束を破ったお仕置きだ」 「…………?」 お仕置き? 自分はどんなお仕置きをされるのだろう……。 約束を破った自分は……。 「………………どうしようか。 そうだな………………。 あの超絶に美味いプリンを、毎日作って貰おうか」 「ふえぇ?」 予想外の一言に、咲良は目を丸くした。

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