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「本当にぷりんやお餅で良いのですか……?」 「……ん?」 「約束を破ってしまいましたのに、これではお仕置きではなくご褒美でございまする」  「俺はそれでいいと思ってるんだが」 心配げな表情の咲良に、守弥は目を細める。 「そう……だな、お仕置きという名目が紛らわしかったな。 じゃあ、俺の願いを幾つか聞いてもらう、ということに言い替えよう」 「お願い……?」 「ああ。 先ずは、俺の為に毎日プリンや餅を作ること」 「は、はいっ」 「時雨やきょうだい達には内緒にすること」 「…………?内緒なのですか?」 「 超絶に美味いからな」 「…………っ」 悪戯っぽい笑みに、心臓がバックンと跳ねる。 「でも……、おばあ様は……? 毎日厨房でご一緒いたしまする」 「………………そうか……、それもそうだな。 ばあ様も甘いものには目がないから、三人分にしようか」 「三人分……?二人分ではなく……?」 「俺とばあ様と、お前の三人だな。 作るだけで食べないのはおかしいだろう?」 「………………っ」 言われてみれば、確かにそうだ。 宮司や付喪神、式神達に作っていたときは、余ったものがあれば口にしていたが、毎回食べていた訳ではない。 「心を籠めて作っているんだから、一緒に食べなくてはな」 「ふあぁ……っ」 何故だろう。 今日は心臓がバクバク跳ねて仕方ない。 心臓だけではない。 守弥が笑いかけてくれると、顔が熱を持ってしまったみたいに熱くなる。 足元がなんだかフワフワしている感じがするし、胸がギュウッと締め付けられる。

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