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「どれも美味しゅうございますね」 揚げたてのポテトも唐揚げも、初めて食べたがとにかく美味しい。 守弥が分けてくれたパンケーキも、譲って貰ったフルーツやサラダも、どれもこれも美味しいのだ。 本宮での食事は煮物や焼き物が主だったので、ばあ様にも合うなら洋食も良いのではと思う。 「料理の仕方が気になるなら、帰りに本屋にでも回るか?」 「良いのですか?」 「ああ。 ばあ様も旨いものが大好きだからな。 バリエーションが増えれば喜ぶと思う」 「洋食なら、どんなものがあるのでしょう……」 「日本で食べられている簡単な洋食だったり、フランス料理やイタリア料理もある。 あとは中華料理だったりな」 「そんなにあるのですね……」 「主食や副菜だけじゃない。 焼き菓子や水菓子、氷菓子……、沢山あるぞ」 「まああ……っ!」 世の中は色んなもので溢れているようだと感じていたが、食べ物もとそうだとは……。 料理の本も見れると聞き、心が浮き立つ。 「おばあ様にも美味しい物を召し上がって頂きたいです。 わたくしにも作れるでしょうか……」 「ああ」 「………………っ」 穏やかな笑みに心臓がトクリと跳ねる。 何故だろう。 今日は、守弥の表情のひとつひとつが咲良の心を惹き付けてやまない。 「ふー……、ごっそさん」 カチ。 「……な…………っ!」 「え………………?」 穏やかなものから一気に守弥の表情が険しいものになり、いきなり立ち上がったかと思うと何かを志朗から取り上げた。 ジュ……ッ! 「守弥!」 「………………っ!」 「守弥さま……っ!?」 表情が険しいものから痛みを堪えるものになる。 守弥が取り上げたのは、火の点いた煙草だった。

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