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分家兄弟が頼ったのは、結局時雨であった。
偶然近くに買い物に来ていたのである。
守弥の車は代行を呼んで家まで届けて貰うことにし、治療や代行に掛かった代金は後日精算と決めた。
ファミレスで分けて貰った氷で冷やしながら、時雨の愛車で病院に向かう。
「はあ……。
よりによって、禁煙ルームで煙草に火を点けちゃう志朗も志朗だけどさ……。
どうしてそれを素手で掴んじゃうかな。
何やってる訳よ、いい大人が二人してさ……。
馬鹿だねぇ、ホントに……。
しかも、咲良はキレちゃってるし」
「わたくしは何処も怪我などしておりませぬ」
いや、そこじゃなくてと突っ込みたいのだが、守弥の火傷を早く診て貰いたい咲良には、違いがわからない。
守弥も応急処置の間に一喝されたことや、ほぼ無表情でキレている咲良にどう声をかけたものかと困惑している。
『連絡来たときは吃驚して泣きじゃくってるんじゃないかと思ったけど、兄さんに張り付いて一生懸命手当てしたし……。
見た目で判断してちゃ、やっぱり駄目だね。
中身はちゃんと成長してるんだ……』
今は気が張っている状態なのだろうし、敢えてつつき回さない方が良さそうだ。
「もうちょいで着くからね」としか言えない時雨であった。
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