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「……かなり凄い音がしてたな、大丈夫か?」
「だ、大丈夫でございます……」
前髪を掻き分けると、冷却シートが貼られていた。
「……怖いくらいに似合うな」
「へ…………?」
冷却シートには、ピンク色でウサギの絵が描かれている。
それが全く違和感がない。
そんな守弥と咲良の様子を、ちょっと離れたところからばあ様が携帯で撮影をしている。
「ちょ、ばあ様ずるい!」
「しゃったーちゃんすは逃さないよ。ふっふっふ……」
「オレも!」
「あたしも撮る!」
子供たちがスマホやデジカメを用意している間も、ばあ様の激写は止まらない。
隣では、式神が動画を撮影している始末だ。
「はいはい~。
咲良のプリン、持ってきたよ~」
お盆を手に、時雨が戻ってきた。
「あ、ああ……、……?」
「だ~め。持つのは兄さんじゃないんだ。
ね、咲良?」
「はっ、はい」
伸ばした両足を跨ぐように座り、咲良は差し出されたプリンとスプーンを受けとる。
「あ、あの……、守弥さま、……ど、どうぞ、お召し上がりくださいませ……」
「は……?」
慎重に掬い取ったプリンが、ぷるるんっと揺れた。
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