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「………………」
きょうだい達の視線が気になる。
……………………………………ものすごく。
だが。
「……、どうぞ、お召し上がりくださいませ……」
差し出されたのは、一生懸命作ってくれたプリンだ。
パクンと口に含むと、豊かな香りと上品な甘さがフンワリと広がる。
「如何でございますか……?」
「うまい」
「…………、まことに?まことにございますか……っ?」
「ああ」
「…………っ、」
スプーンを構えたまま、真っ赤な顔になる咲良。
「まだまだござりますゆえ……」
「ん」
差し出されたプリンを再び口にする。
「あの……、何故みなさまが周りに……?」
「あー……、気にしなくていい……、多分……」
「でも……」
「大丈夫、いつもの記録だからさ。
気にしな~い、気にしない~」
守弥の後ろ側からスマホを向ける時雨はそう言うが、気にならない訳がない。
「うさこ、可愛い……っ」
「オレも食べさせてもらいたい……」
「あたしも」
「兄ちゃんの食べてるの、何倍も美味しく見える……」
「いいなぁ……守弥ばっかりズルい……」
遠巻きにしていた筈のきょうだい達が、いつの間にか周囲を取り囲んで生唾を飲み込んでいた。
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