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◆◇◆◇◆ 風呂上がりに年少組四人(守弥の弟二人と妹二人)に捕まり、座敷に連れてこられた咲良。 初めての布団蒸しや枕投げに驚きを隠せなかったが、思いきって遊びに混じった。 付喪神や式神とじゃれて遊んではいたけれど、それよりももっと激しい。 たが。 無心で遊ぶ楽しさを覚えたのは初めてで。 心地よい疲れを覚えて眠りに落ちた筈だった………………のだが……。 『………………どうしましょう……』 ほんの少し寝入っただけで、目が覚めてしまった。 五人で団子のようにくっついているから、迂闊に寝返りを打つのも憚られる。 子供特有の温かさは良いのだが、何かが足りない。 『………………音……、それから……』 足りない物を数えていく。 前髪にかかる吐息。 右耳を当てて聴く鼓動。 引き締まった胸筋。 香水とは違う安心する香り。 腕が乗る時の重さ……。 『うぅ……。 守弥さまが足りませぬ……。 でも……、もう眠ってしまわれたかも……』 水族館で買って貰ったヌイグルミをギュウッとするが、やはり守弥とは違う。 『どういたしましょう……』 このままでは眠れそうにない。 『守弥さまのお部屋の前まで行ってみよう……。 お返事がなければ、ここに戻れば良いのだもの……』 そうっと布団から抜け出し、咲良は廊下へと足を進めた。

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