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座敷から出て、静まり返った廊下を進む。
もう全員が寝てしまったのか、ぽつぽつと灯る常夜灯しか見えない。
小さな子供であれば怖さを覚えるだろうが、禍々しいものがいる訳でもないので守弥の気配を探す。
「えっと……、守弥さまは…………、あ……」
慣れ親しんだ気配を追って、静かに廊下を進む。
家の中とはいえ、深夜に歩き回っているのは良くないのは分かっている。
枕が変わったら眠れないという訳でもないのだから、寝てしまえばいいだけで。
「でも……」
眠れないのだ。
窓から射し込む月明かりの中、守弥の気配に向かって歩く。
『………………ここ……?』
ドアの前に立つ。
来てみたものの、ドアノブに手を伸ばせない。
『どういたしましょう……。
来てはみましたけれど、守弥さまが眠ってしまっていたら……。
せっかくお休みになっているのを起こしてしまうのは……』
今日は外に連れ出して貰ったし、煙草でやけどもしている。
きっと疲れて寝てしまっているに違いない。
『やっぱり、戻った方がいいのでしょうか……』
アザラシのヌイグルミを抱いたまま、引き返そうとした瞬間……。
カチャ……っ。
「咲良か?」
「……………………っ?」
開いたドアの向こうに守弥がいた。
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