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「なるほどねぇ……」 守弥の火傷を咲良が引き受けたのは間違いない。 胸元に散った痣は、火傷を引き受けたことによるもの。 ならば。 一気に成長した理由はなんなのだ。 寝る前は9歳位だったのに、朝には12歳か13歳位になっていた。 何が咲良を駆り立てたのだ。 『わたくしが……年相応であったなら……』 「………………」 『外見が幼いものではなく、15歳のものであったなら……。 守弥さまにとって、恥ずかしくないわたくしであったなら……』 ああ。 そうなのか……。 腑に落ちた。 『年相応でありたい。 余計な心配を掛けたくない。 咲耶のようになれていたなら……。 自分が並び立っても、守弥さまが恥ずかしいと思わずに済む姿であったなら……! こどものままではダメ。 大きくならなくては。 はやく。 今までは時が止まっていたけれど、成長を始めたのだから。 大きくなりたい。 凛々しくありたい。 今のままでは嫌………………っ!』 自分のためではなく、守弥と共にいるために望んだのか。 たった一晩で、何年分も成長するほどに……。

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