218 / 668
・
◆◇◆◇◆
「ほう……?
煙草を握り潰した火傷が一晩で消えた?
…………面白い」
市内の反対側の住宅街。
ちょっとした林に囲まれた屋敷の中。
ばあ様と関わりのある女性医師が目を輝かせた。
「患部を押しても内部が痛む様子も無い。
…………グリグリしても何とも無いんだな?」
「………………ああ。
………………別の意味で痛いのは気のせいか?」
グリグリというより、掌と甲の両側からゴリゴリ…………いや、ゴリッゴリと押されているような……。
「ほほう……。
なかなかいい骨だな。ふむふむ」
グリグリ、ゴリゴリ……。
「……………痛い…」
「いやいや、まだまだ」
「………………痛い」
「そろそろお手を止めてくださいませ!
守弥さまが尋常ではない汗を流しているではありませぬか……っ」
「ん?んん。もうちょいだな……」
「あああ……汗が、尋常ではない汗が噴き出しておりまする!お願いにございます!もうお止めくださいませ!」
「いや、もう少し……、ん?」
「お願いにございます!」
必死で制止する咲良を見て、女医は漸く手を止めた。
「ん、そうか。これくらいにしておくか。
ふむふむ。なかなかの小動物っぷりだな、おまえ。そうか、膝にくるか。そうかそうか」
「ふえ?」
「面白いな。どこからどう見ても女子だが、気は男子のもの。
なのに違和感が微塵もないな。
しかも小動物っ気もある。ふむ、興味深いぞ」
「ほえ?」
気がついたときには、咲良は医師の膝の上にいた
ともだちにシェアしよう!