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◆◇◆◇◆ 「ほう……? 煙草を握り潰した火傷が一晩で消えた? …………面白い」 市内の反対側の住宅街。 ちょっとした林に囲まれた屋敷の中。 ばあ様と関わりのある女性医師が目を輝かせた。 「患部を押しても内部が痛む様子も無い。 …………グリグリしても何とも無いんだな?」 「………………ああ。 ………………別の意味で痛いのは気のせいか?」 グリグリというより、掌と甲の両側からゴリゴリ…………いや、ゴリッゴリと押されているような……。 「ほほう……。 なかなかいい骨だな。ふむふむ」 グリグリ、ゴリゴリ……。 「……………痛い…」 「いやいや、まだまだ」 「………………痛い」 「そろそろお手を止めてくださいませ! 守弥さまが尋常ではない汗を流しているではありませぬか……っ」 「ん?んん。もうちょいだな……」 「あああ……汗が、尋常ではない汗が噴き出しておりまする!お願いにございます!もうお止めくださいませ!」 「いや、もう少し……、ん?」 「お願いにございます!」 必死で制止する咲良を見て、女医は漸く手を止めた。 「ん、そうか。これくらいにしておくか。 ふむふむ。なかなかの小動物っぷりだな、おまえ。そうか、膝にくるか。そうかそうか」 「ふえ?」 「面白いな。どこからどう見ても女子だが、気は男子のもの。 なのに違和感が微塵もないな。 しかも小動物っ気もある。ふむ、興味深いぞ」 「ほえ?」 気がついたときには、咲良は医師の膝の上にいた

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