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心臓の真上から左胸の方へ少し手をずらした時だった。
心臓を取り巻く茨が感じ取れた。
「これ……は……」
確かに、ばあ様から聞いた通りに古い魂の核がある。
咲良の心臓の中に……。
その周りを囲む神格を纏った茨……。
守るように、だが、もうひとつの役目を持っているようだ……。
荊櫻は意識を集中していく。
……キィ……ン……。
『外からの干渉を拒む力と………………、…………核……』
…………キ……ィイ……ン……。
『染まったものを…………外に漏らさない力……?
なるほど……な』
パッと見た感じでは感じ取れないが、茨に囲まれた守弥の核は古い呪いか何かに染められた形跡がある。
神格を纏うだけの期間抱き続けたということは、核は濃い呪いに染められていた可能性が高い。
『家族の災厄や病魔を被って得た代償と、まじないをぶつけていたのか……?
痣は、…………相殺の証……それから……』
『………そこまでにしてくださりませ……』
『………………っ!?』
更に読み解こうとした瞬間、注いでいた力の流れがプツリと断ち切られた。
「なんだと……?」
『わたくしに残された時間はあとわずか……。
役目はまだ終わっておりませぬ……。
どうかこの事は御内密に願いまする』
「………………」
咲良とは違う少女の声。
『最期の機会にございますゆえ……どうか……』
許して欲しいと告げ、声は遠くなった。
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