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咲良の中にいる少女……。
憑依しているのとは違う感覚がした。
「………………」
何度か引き上げを試みたが、掠りもしない。
だが。
サイコダイブするまでもなく、咲良との繋がりは掴めた。
「″最初″のお前と、″当代″のお前か……。
ここまで自分を失っていない″最初″はかなり珍しいな………。
興味深い……」
「………………?」
「そっちのお前……、あー……、守弥と言ったな」
「あ、ああ」
「ちょっとそのままでいろ」
「………………?…………うおっ!?」
床に座ったままの守弥の頭を、荊櫻はガッシと掴んだ。
「ふむ……」
魂魄の殆どは普通の鬼と同じ。
だが。
古い術の名残が微かにある。
「何だったかな……。
前に一度診た事があるんだが、古すぎてなぁ……。
ああ、…………ん?」
核がポッカリと抜けた場所、そこに何かがある。
頭から離した手を、今度は心臓の真上に当てた。
「……吸い上げた、か……?」
「………………?」
魂魄の中にある痕跡は三つ。
呪いに近いもの、それを引っ張り出した跡、それから……核を抜き去った跡だ。
『良からぬものを一気に取り去ろうとしたが、時間が無かったんだな……。
集められるだけ集めて抜いた。
だから、全部を抜けなかった訳か……』
その良からぬものも時の経過でかなり薄くなっているが、正体を見極めねばなるまい。
意識を集中していくと、背中にゾワリとした感触が広がった。
『黒いな……。
並の濃さでは無かった筈だ……。』
小さなものから大きなものまで、全てが絡み付くおぞましい感触。
『死の呪詛…………?いや、これは違うな。
薄まってはいるが………………まさか……!』
思っていたものよりも、深刻なもの……。
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