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「ん……、遅れていた成長が始まって心配なのもわかるが、悪い影響があるわけでもないしな。 大ばばの都合がつく日に改めて診察をしよう。 うちの長男の番(つがい)の病院で、な」 「………………は、はい」 守弥と咲良が抱えていたものの一部があまり質の良くないものだと悟った荊櫻だが、きっちりポーカーフェイスを貫いて言い切った。 「だが、な。 咲良、一言言っておくぞ」 「は、はいっ」 「他人が負った傷や災難を引き受けるのは、もう二度とやってはダメだ。 命あるものは、必ず背負う宿命や業というものがある。 それは誰かが肩代わりしたりするものじゃない。 生きていく上で越えなければいけない壁は誰しもあるんだ。 成長するために」 「………………」 「傷を負う事もあるが、心や魂が成長するために必要な壁や宿命もある。 自分の寿命を削るような真似は決してするな。 …………分かったな?」 「はい……」 神妙な面持ちで返事をするが、いまいち納得しきれない本心を見透かしたように、荊櫻は咲良の顔を覗きこむ。 「…………本っ当ぅ~に、分かったんだな?」 「で……むぐっ」 「分かってないなら、分かるまで俺が言い聞かせる。 それで勘弁してやってくれ」 なおも言い返そうとする咲良の口を手で塞いだのは、守弥だった。

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