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粗方買い物も終わったが、真っ直ぐ帰るのも味気ない。 洋服を買うのは午後からだし、昼食も家族と食べることにしている。 「近くに雑貨屋があるが……、見てみるか?」 「ざっかや……?」 「ちょっとした小物や綺麗なものが置いてあるよ。 ばばのお気に入りの店だねぇ」 ちょっとした小物や綺麗なもの……? どんなものなのだろう。 気になる。 守弥が触れる時のものとは違うが、胸がトクトクと逸って仕方ない。 「わたくし、行ってみとうございまする」 「決まりだな」 小さな荷物を積み込み、車は大きな駐車場を横切って脇道に入った。 可愛らしいデザインのレンガ塀や、芝生の庭が目に入る。 アイボリーに統一された壁には、金属で作られた猫のプレートの表札。 向かいの家は、低く整えられた生け垣から仔犬が顔を覗かせている。 伝統的な日本式の家屋とは違う家々。 「まるで異国に迷い込んだよう……」 「最近は、こういう外観の家が流行りみたいだからねぇ」 「あの可愛らしい建物も……?」 「あれがばばのおすすめの店だよ」 「まああ……っ」 外国の片田舎に建っていてもおかしくない、可愛らしいが品のある建物……。 駐車場に車を停め、三人は中に入った。

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