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「もう……っ、お二人とも、人が悪うございます」 守弥の手当てをしながら、咲良が眉を八の字にした。 「年相応の背丈でこんな髪型の男子など……。 間近で見たら具合が悪くなるのも致し方ないのですよ、もう……っ」 蒸しタオルで守弥の顔のあちこちに飛んだ血を丁寧に拭き取り、残ったものが無いか確かめる。 『何処からどう見ても、女子にしか見えんが……』 内心突っ込みを入れるが、守弥は敢えて黙っている。 確かに咲良の背は伸びたが、喉仏はまだ見えずゴツゴツした感じはない。 細身のまま、肌はキメが細かいし、睫毛は長く鼻筋もスッと通り、唇もぷっくりしている。 所作はなよなよしてはいないが、あくまで優美……。 「…………どこから見ても可愛いと思うけどねぇ……」 「女装男子とか、おねえとかには見えないし」 「そういえば、今日は鏡を見たかい?」 「いえ……。 髪はいつも通りに結いましたし、服は時雨さまが見繕われたので……」 なるほど。 咲良以外の三人は合点がいった。 視点の高さが変わったことや、手足が伸びているのは本人も分かっている。 だが、鏡で確かめてはいないため、年相応の男子が女装していて見た目が気色の悪いものになっていると思い込んでいた訳だ。 「さくら、こっちに姿見があるからおいで」 「でも……」 「どんなふうになってるか、確かめましょ」 「はわわ……っ」 二人に手を引かれ、姿見の前に立つ。 「………………っ」 鏡に映った自分を見て、咲良は言葉を失った。

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