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一方、フリーズしたのは咲良も同様で。
「……っ、……っ」
額同士が合わされ、間近に守弥の瞳がある。
毎晩眠る時に隣で見るが、こんな風に近いのは滅多にない。
「……っ、……っう、う……」
駄目だ。
こうして見つめられたら、……絶対に逆らえない。
「噛むな。切れてしまうだろ」
「は……、はい……っ」
「よしよし」
唇を緩めると、涼しげな目元が和らぎ、触れていた額がグリグリされる。
幼いときから一緒にいた付喪神や式神、いや、宮司からもされたことがないこと……。
目が離せなくて、顔が熱い。
いや、全身が熱くてフワフワする。
それに……。
こんなに甘い表情の守弥は見たことがない。
そうっと離れた額。
名残惜しくて、胸が軋む。
「…………っ」
「あああ……、ほらな……。
歯の跡がついてしまったぞ」
「んぅ……」
気遣うように指が触れ、咲良の中でピリリと電流が走った。
「…………?痛かったか?……大丈夫か?」
「…………っ、…………っ」
具合が悪い訳ではなくて、触れられた場所が疼いているのだが、うまく言えない。
「血も滲んではいないんだがな……」
「っ、ぁ……っ」
再び唇に指が触れて、今まで発した事がないような上ずった声が零れた。
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