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「大丈夫か?」 「ひぅ……っ」 そうっと触れる指も前髪に当たる息も、咲良の中に電流を走らせる。 「咲良?」 「……っ、……ゃ……っ」 労るように触れないでと言いたいが、守弥が離れてしまうのも嫌……。 心がざわついて、過ぎるくらいに敏感になった肌……。 離れてしまったら、きっと今よりも自分はおかしくなってしまいそうで怖い。 ……怖くて仕方ない。 守弥自身も、こうして不安を抱えてすがる咲良を宥めてやりたい。 頬をほんのり染めるのも、ひくんと震えるのも、いきなり成長してしまった姿の中に幼い咲良が在るように思えて離れがたいと感じる。 「大丈夫だ。落ち着くまで傍にいるから。な?」 「……っ、は……ぃ……」 守弥が戸惑うのと同じ……いや、それ以上に咲良も戸惑っていた。 一体自分はどうなってしまったのだろう。 守弥を慕う気持ちを持ったのは間違いない。 だが、心が軋んだりするのは仕方ないとして、そうっと触れられた時に思わぬ反応をしてしまう自分が怖い。 緋色の瞳を滲ませる涙が、ほろと一粒零れ落ちる。 「…………っ、ぁ……」 優しい眼差しが視界から逸れ、胸が軋んだ瞬間。 チュッ。 その零れた涙の雫に優しくなにかが触れた。 「………ふぇ…っ?」 驚いてそのなにかを見ようとして、咲良が顔を向けた瞬間。 チュ……ッ。 「んう?」 二人の唇が触れていた。

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