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初めて聞く音楽は耳に馴染みの無いものだったが、リズムの取り方を覚えてしまえば早い。
神楽舞いの衣裳を着たまま、四人と躍りまくった。
稚児舞いを手伝った付喪神も加わり、なかなかの盛り上がりで。
咲良と心ゆくまで踊った四人は、満面の笑みで帰って行った。
「ふふ……っ」
「大丈夫か?今日はかなり疲れただろう?」
「いえ、こうして湯に浸かれば何て事はありませぬ」
「………そうか………?」
「はい」
急に背が伸びてから何となく一緒に入らなくなったからか、湯殿で見る咲良は女子でないのが不思議なくらいに可愛らしく儚げだ。
一晩で背が伸びてから一ヶ月経つが、ゴツゴツした部分はなく、手足もスラリとしていて中性的なまま……。
『恐ろしいくらいに、兄さんの好みのストライクゾーンど真ん中だよねぇ。
身代わりだって本人は言ってるけど、やっぱり咲良が兄さんの姫なんだろうねぇ……。
好みの姿になってるの、満更でもないんでしょ?』と時雨が苦笑いしていた。
図星を突かれて絶句するしかなかった守弥だ。
「…守弥さま……?」
「………………」
「守弥さま、お加減が良くないのですか?」
「……?うおお!?」
急に黙りこんだのを案じたようだ。
心配そうに見上げる咲良の顔が間近にあって、守弥の心臓が大きく跳ねた。
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