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「……大丈夫か?そろそろ洗い流すぞ。 少し顔を上に向けてくれ」 「え、あ、はっ、はひ……っ」 前髪の生え際から、両サイドや頭頂……後頭部へとシャワーがあてられていく。 自分で洗う時は何ともないのに、今日の自分はおかしい。 こうして後頭部へシャワーが当てられてる間も、背中や腰がゾワゾワじくじくするのだ。 『駄目……っ、声を我慢しないと……っ』 口を引き結び、一生懸命こらえる。 「もしかして、後頭部が苦手か?」 「はうぅ?」 「やたら力んでるし、口を押さえてるのは、背中がゾワゾワしてたりするのか?」 「あ、……は、はい……」 「これだけ長い髪だから、鋏を入れたこともないだろうしな……。 そうか、ザワザワしたか……。 あともう少しだから、我慢できるか?」 「は、はい……っ」 守弥は手早く、且つ丁寧に泡を流していく。 後頭部が終われば何てことはないのだが、脹ら脛まで伸びる髪を丁寧に扱われるのを見ているだけでもクラクラしてしまう。 「……ん。 きれいに落とせたな。 もう一回洗うが……、頑張れるか?」 「は、はい……。 ……あ、あの……、ゾワゾワするところだけ、わたくし……自分で……」 「後頭部だけだな?」 「はい」 「………………俺がするように出来るか?」 「は、はい」 「なら、いい」 守弥は再び咲良の髪を泡立てた。

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