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「ふ、ふにゅうう……っ」
「我慢だ」
「でも……、う、にぃい……っ、い……っ」
着替えたあとに居間に戻ったふたり。
守弥がドライヤーで髪を乾かしてくれているのだが、耳元や後頭部に当たる風で背中や腰がゾワゾワしてしまう。
最初は行儀よく正座していたものの、そのゾワゾワに負けて伸ばした両足を咲良はバタバタさせて耐える。
ぶおおおお……っ。
「ふ、ふええぇぇぇぇぇ……っ」
膝を合わせて爪先にギュッと力を入れるが、ゾワゾワを遣り過ごすことが難しい。
一生懸命堪える咲良を見守る時雨も、小動物っ気全開の様子に激萌え状態でスマホを向ける。
もちろん、ばあ様もばっちり動画撮影中だ。
「かっ、かわ……っ、何あの可愛さっ……。
初めてのトリミング中のスピッツか何かみたい……」
「あのジタバタが……っ、たまんない……っ、うしゃこ……っ、ぐは!」
「プルプルじたじた……!かわ……っ!」
先日の「ぷりんどうぞ」も鼻血ものであったが、ドライヤーの風にジタジタする咲良も堪らない。
末子の総詞に至っては、鼻血が流れているのも気付かずに激写している。
「守弥さま……っ、やっぱりわたくし……、いつものように風で水気を飛ばしまするぅ……っ」
「駄目だ」
「でも……っ、……にああああ……っ!」
「髪に必要な水分まで飛ばしかねないからな。
我慢だ、我慢」
「ふにいぃぃぃ……っ!」
いつもの淑やかさとは違う幼い一面に、見守る一同は萌え爆裂の地獄絵図となった。
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