277 / 668
・
髪を乾かし終えて丁寧にブラッシングをすると、いつもより艶のある銀髪に仕上がった。
「すご……!つやっつやのキラキラ……!
うさこの髪キレイ……っ!!」
「ホントだ……。
いつもの髪もキレイだけど、守弥にいちゃんが仕上げたの全っ然ちがう!」
「すんごい……っ、初雪みたい~っ!」
「だろ?ほんの少しの手間で、こんなに綺麗になるんだ。
分かったか?」
「えうう……、はい……」
仕上がりの見事さに、咲良も言葉が出ない。
「うさこ、こっちに来る前はどうしてたの?」
「……手拭いでちゃんと水気を取っておりました。
乾かすときは、囲炉裏の火の近くで……」
「やっぱりな。
風呂から早く上がろうとして、無理に風で飛ばしてたんだろ」
「……う……、はい……」
悄々と項垂れる咲良。
「そんなに慌てて上がらなくていいから、ゆっくり髪を乾かせばいいんだよ。
ばばも露天でのんびりしてるんだし」
「でも……」
「これからは洗うのも乾かすのも俺がやる。
異存はないな?」
「ふええ……」
つう……。
ぽた。ぱた……。
「え?」
「兄ちゃん!」
「おい!」
「ふえ……?」
いきなり小鼻を摘ままれて、咲良は目を丸くした。
ともだちにシェアしよう!