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コンコン。
控えめなノックがされた。
「…………時雨にーちゃん、…………お布団運んでい……?」
小さな声がする。
「あ、ちょっと待って。
兄さん、何か羽織らせないと……」
「あ、ああ」
辺りを見回して手頃な物がなく、守弥は着ていた甚平を脱いで咲良に掛けてベッドに寝かせた。
「じゃ、チビ達を入れるよ」
「ああ……」
足音を忍ばせて弟妹達が入ってきた。
「うさこ、寝た?」
「ばあ様が、これ持ってけって」
「あ、ありがとう……」
数本のペットボトルと冷却シートが入ったバスケットを受け取る。
「すまんな、一緒に寝る予定だったのに」
「いーの。具合が良くなったら、いっぱいギューってするし」
「そ。やっぱさ、ラブラブのお邪魔も良くないしさ」
「………………意味分かって言ってるか……?」
「ん~?守弥にーちゃんがうさこを独り占めするってことでしょ?」
「………………」
色々訂正したいところはあるが、取り敢えず布団を運ぶのが先だ。
タオルケットや枕を年少組に持たせ、守弥と時雨は敷布団を持ち上げた。
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