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「咲良!」 部屋に駆け込むと、ベッドの周りでオロオロするきょうだい達がいた。 「何してたんだよ、もう~!」 「うさこ起きちゃったよ」 「抱っこ抱っこ、早く早く!」 「……あ、ああ……」 促されて近づく。 「咲良?」 「えうぅ……」 咲良の横に腰かけると、見上げてくるのは潤んだ瞳だ。 「咲良、どうした?……ん?」 「……っ、…………っ」 守弥に手を伸ばそうとして躊躇するのを数度し、ふらつきながらも起き上がる。 ペタンと座る体勢になるが、維持出来ずに一瞬仰け反りかけた。 「………………っ、………………?」 「お、おい……っ」 腕を掴んで引き寄せる。 「…………っ」 「ん?」 「…………く…………こ……?」 「………………?」 「や……」 「………………?」 咲良を膝の上に座らせて、ずり落ちた甚平で包み込む。 やはり熱が上がってきているようで、首筋に当たる呼気が熱い。 「……咲良?」 「しゃく……や……」 「…………?」 ホロ、と一粒涙が零れて、微かに鈴が鳴るような音がした。

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