288 / 668
・
「咲良!」
部屋に駆け込むと、ベッドの周りでオロオロするきょうだい達がいた。
「何してたんだよ、もう~!」
「うさこ起きちゃったよ」
「抱っこ抱っこ、早く早く!」
「……あ、ああ……」
促されて近づく。
「咲良?」
「えうぅ……」
咲良の横に腰かけると、見上げてくるのは潤んだ瞳だ。
「咲良、どうした?……ん?」
「……っ、…………っ」
守弥に手を伸ばそうとして躊躇するのを数度し、ふらつきながらも起き上がる。
ペタンと座る体勢になるが、維持出来ずに一瞬仰け反りかけた。
「………………っ、………………?」
「お、おい……っ」
腕を掴んで引き寄せる。
「…………っ」
「ん?」
「…………く…………こ……?」
「………………?」
「や……」
「………………?」
咲良を膝の上に座らせて、ずり落ちた甚平で包み込む。
やはり熱が上がってきているようで、首筋に当たる呼気が熱い。
「……咲良?」
「しゃく……や……」
「…………?」
ホロ、と一粒涙が零れて、微かに鈴が鳴るような音がした。
ともだちにシェアしよう!