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鈴のような音が幾重にも渦を巻く。
山向こうの村へは、最も険しい道のりになる。
少なくとも、体調の思わしくない護矢比古であれば選ばないであろうと追っ手の男達は思っていた。
だが、尾を引いて響くうちの一つの音が、その一番険しい方向からする。
「荷を担いでなくても歩きづらいとこだぞ…っ」
「あの護矢比古でも、さすがにきついだろうよ…」
どんどん息が苦しくなって、喉の奥から血の味がする。
体も重い。
次第に引き返そうかという雰囲気になりつつあった。
「で、まんまと逃がして次期さまに仕置きされるか?」
「「………っ!」」
それは避けたい。
自分だけならまだしも、家族にも罰が及ぶのは避けたい。
「護矢比古が担いでいる女からは、あの変な音はしない筈だと聞いたぞ」
「でも、この枯れ草を踏んだ跡は、どう見たって男だ」
「どっちにしろ、担いだ女もろとも殺せって話だろ?」
「長の跡継ぎ問題が片付けば、里だって元通りになる。
おっかない思いをしなくて済むんなら、とっとと片付けて帰ろうぜ」
「「お、おう」」
苦しさや疑問はある。
だが、先々に横たわる得体の知れない怖さを考えれば、小さなもののように思える。
片付けてしまえばいい…そう心に決めて、男達は先を急いだ。
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