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命の火を無くして魂魄だけになって、漸く香久良は自分の中に宿った命の存在を知った。
護矢比古を呪いから解放出来ず、己の中に宿った命の存在にも気付けなかった事に、香久良は深く深く悔いて嘆いた。
「わたしにもっと力があったなら…!」と。
幸い、護矢比古から抜いた呪いの濃い部分は、香久良の魂魄にしがみついている。
これならば、長い年月を掛ければ浄化していける筈。
常に神仏に関わる生を選び続けた。
ただ、とどめを刺された際に護矢比古の魂の核を取り込んでしまっていたのが悔やまれた。
平和な日々は長く続かず、戦乱に巻き込まれたことも一度や二度ではなくて。
それでも香久良だった魂は、必死で呪いを浄化し続けた。
いつか、大好きだった護矢比古に会う時に、恥ずかしくないようにと。
『………心臓を取り巻く封印が、神格を持っていたのもうなずけます。
ご自身の人間としての幸せも何もかもを引き換えにして、常に神仏の元で…』
『…………途中で放り出してしまいたくなる事もあったろうに…』
守弥と童子は、起源であった香久良から咲良までの長い長い旅路を辿る。
濃い呪いに何度も挫け、飲まれ、それでも諦めずに浄化をしていったその過程は、あまりにも辛く壮絶なものだった。
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