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守弥の手が視線に入った瞬間。
…………くらり。
視界が揺れた。
咲良の心と、過去の咲良の心が重なる。
………………今ではなく
近い過去でもない。
とおい……
はるか遠い………………遠い過去の自分が覚えていたこと……。
気がついたらもう好きだった。
ずっと……、ずっとずっと好きだった。
身も心も、魂魄にいたるまで。
黒髪に指を絡めてもらい。
狩りの為の服を縫った。
破魔の大弓を引く姿にため息をこぼし。
星読みの丘で将来を誓い、飾り紐を交換した。
嫁ぐ日を心待ちにして。
ひと針ひと針、心を籠めて衣裳を縫った。
「…………っく……」
ひとを好きになると、心が浮き立つものだと咲耶から聞いていた。
でも。
好きだという気持ちが深くなればなるほど、起源の咲良と心が重なるほど。
切なくて。
苦しくて。
………………胸が痛くて仕方ない。
ほんの数ヵ月前までは、何一つ想像できなかった。
幼い姿から成長することを。
守弥に恋をすることも。
恋が、こんなにも苦しいと知ることも。
そして、唐突に思い出す。
咲耶や家族たちの災厄を引き受けたことで、自らの命を削り続けてきたことを……。
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