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「………二世を誓う前なら間に合うと思ったのか?」
「………………っ、はい……」
「ずっと縛り付けてしまうのが辛いか?」
「はい……っ」
「…………………………咲耶を呼ぼうと思ったのか?」
「……っ、はい……」
「………………」
本来の忌み子同様、誰の目にも触れずに世を去ろうとしたか。
そう思うと、胃の辺りが熱さを持つ。
間に合うどころかとうに手遅れだというのに。
「………………お前な……。
今さら居なくなってどうする」
「…………でも……っ」
「前にも言ったろ。
お前だからいいんだ。
いまさら咲耶が代わりに来ても、お前の代役なんか務まる訳がないだろうが」
「………………っ」
「命を粗末にしたと言うが、明日の事なんか誰にも分からない。
俺の方がいきなり事故に遭わないとも限らない。
先の見えないことを案じて俺の傍から離れるってのは無しだ。
俺にとっても、家族全員にとっても、その選択は絶対にな」
「………………っ、でも……っ」
「罪悪感も、申し訳なさも要らない。
色恋ってのは、もっと利己的に振る舞うものだ」
縁談を潰したことや、男子であること、短命かも知れないことを気にして消えようとするなど……。
ここまで胃袋どころか心の深いところまでガッツリと握っておいて、目の前からひっそり消えようとするなど……。
「そんなこと、俺が許す訳がないだろ。
覚悟が固まるまではと思ってたが、自覚が薄いぞお前……っ」
「ひゃ……っ」
「ヒラリヒラリと逃げ回られたら敵わないからな……。
マーキングさせてもらう」
「え………………?」
顎を掴んで左を向かせると。
はくん。
「………………ひにゃっ?」
そろり……。
「………………?」
首筋を軽く噛み、そろりと舐め上げられた。
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