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「…………っ」
緩めた襟元……首に広がる蔓バラを見て、守弥だけではなく荊櫻もばあ様も絶句した。
噛んだところから広がり、首回りをうねりながら周回して締め上げるような形に変化していたのだ。
蛇のようにジワジワ動き、少しずつ濃さを増していく。
二重三重に巻き付いて、ギリギリと締め上げて。
「咲良……」
触れた指先が熱い。
…………とても。
息は浅く、ぐったりしている。
弟妹達がインフルエンザで寝込んだ時よりも熱いのではないのだろうか……。
「咲良がお前からの仕置きだと受け取った証だ。
甘噛みして打ち消ししてやれ。
このままじゃ本当に命があぶない」
「あ、ああ」
噛んだ場所に唇がふれる。
「んう…………っ」
「咲良?」
「仕置きと勘違いしてるだけだ。そのまま噛め」
「………………」
はくん。
「ふあ……っ!」
痙攣を起こしながら華奢な体が跳ねる。
「…………っ」
「いいからそのまま噛んで舐めろ」
そろり。
「ひう……っ!」
しゃああん……。
しゃりぃ……ぃぃぃん……っ。
微かな鈴の音とともに、咲良の硬直が解けていく。
「や……っ、……あつ……い……っ、んう……っ、……………………っは……ぁう……」
首に巻き付いていた蔓の色が薄くなり、ほんのり光を帯びる。
しゃ…………ぁ………ん…。
ピキン……!
薄くなった蔓にヒビが入り。
パァンッ!
一気に弾けて空気中に消えていった。
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