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結果的には咲良と触れ合えて大満足の家族達は、満面の笑みで帰っていった。 テールランプが見えなくなるまでその場に佇み、咲良は帰り際の時雨と交わした言葉を思い出す。 「昨夜はごめんね。 でも、俺だけじゃなく皆の気持ちなんだよ。 お姉ちゃんの身代わりじゃなく、本当に兄さんの花嫁になって欲しい。 他の誰でもいいんじゃない。 咲良だからなんだ。 お願いだから、俺たちの家族になって」 「…………っ」 「前向きに考えて欲しいな、ホントに」 「で、も、守弥さまは……」 「わからない?」 「………………」 俯く咲良の頭を優しく撫で、時雨は呟く。 「ホントに気づいてないのかな、気づかない振りとかじゃなく?」 「………………っ、わたくしは…………っ、…………っ、……」 「…………今日はばあ様も外宮に泊まるみたいだし、ゆっくり兄さんに聞いてみなよ。 悪い話にはならないと思うからさ」 「…………っ、わたくし…………恐ろしゅうございます……。 守弥さまのお心を……聞き出すなど……」 前向きに考えてと言われても……。 守弥の想いが自分のものと異なるかも知れないのに。 『異境から来たから致し方なく丁重に扱っているのだと思われていたら……。 お前を好きだと思ってるのではなく、単に庇護しなければと思っているだけと言われたなら……』 怖い。 …………とても。 両親すら直視できぬ容姿で生まれた自分に自信など持てない。 昨日いきなり背丈が伸びてから、まだ自分の姿を確認してもいない。 気持ち悪いと言われてしまうのではないのかと、怖くて俯くしか出来なかったのだ。 「咲良?」 「………………」 「咲良……?」 「……………………」 「どうした?具合が良くないか?」 「へう?……………………っ、ひにぁあああ!」 考え事をしていたら、目の前に守弥の顔があった。 「やっぱり本調子じゃないか……?」 「いえ、そうではなくて……っ」 守弥の本心は知りたい。 でも、その勇気はない。 ご神木の傍で話を聞いてくれたあの不思議な鬼がくれた小さな包み。 それはまだ袂に入れたまま……。 「もう、ふらつきもありませぬ。 本当に……大丈夫でございまする」 「そうか……?なら、軽く汗を流して早目に寝るか」 「は、はい……、ひゃ!」 守弥は咲良を肩に担ぎ上げると、湯殿へと向かった。

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