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湯殿に置いてきた守弥は、不審に思わなかったろうか。 あんなふうにバタバタと風呂から上がったことは一度もない。 息を切らして寝台に座ると、咲良は疼く下腹を押さえた。 「こんな…………っ、見られてしまったら生きてゆけませぬっ。 お願いにございます、鎮まってくださいませっ」 半泣きで押さえても、体の疼きは止まらない。 背筋を這い上がる痺れに息が乱れ、体を支えてはいられなくなる。 「んっ、…………う……」 今まで出したことのないような上擦った声。 そんなものを聞かれてしまったら、きっと呆れられてしまう……。 「なにか、声が……漏れないようにしなければ……っ」 辺りを見回しても適当な物がなく、手元にあったタオルケットを被って丸くなる。 声が漏れなければ、守弥は寝ていると思ってくれるだろうか……。 大丈夫、多分大丈夫だと自分に言い聞かせ、咲良は更に体に力を籠めた。 その頃。 湯殿に残された守弥は。 脱衣所の床にぽつねんと残された下着を見て、目をぱちくりさせていた。

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