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「ふあっ、…なっ、なっ、はわ…っ!」 傍らにあった懐紙を咲良が慌てて差し出したが、守弥は悪戯っぽく笑うとそのまま嚥下してしまった。 「なっ、なっ!そなっ、なっ、ふあああああっ!」 自分でも普段殆ど触れない場所から出たものを、守弥はペロリと舐めて飲み下した。 なんてことをするのだと、偶然目に入ったペットボトルを手に取り、咲良は守弥に差し出す。 ひと口ふた口と水を飲み、顔を真っ赤にしている咲良に笑んでくる。 「あっ、あの、のっ、もっと飲んで下さいまし! いえ、吐き出して下さいまし!」 「どっちなんだそれは」 「どっちもでございますっ! あのようなものを飲むだなんて……っ、お体の具合が悪くなってしまったら……っ」 咲良は舐めて飲み下したものを吐き出し、口の中を水で漱いでもらいたいのだ。 言いたいことは伝わっているのだが、敢えて守弥はすっとぼける。 漸く成長が伴って初めてこぼしたのだから、それは対である自分のものにしておきたい。 吐き出すなど以ての他だ。 舐め取ったのも飲み下したのも、意識するより先にしてしまっていた。 「もうきっちり胃に収まってしまったから、出しようがない。 懐紙に取って捨てたとして、それを朝になってから式神や付喪神に見られるのも恥ずかしいだろう?」 「……っ、…………っ、そっ、それはそうですが……っ」 「こういうことは秘めるべきことだしな。 見えないところに収めておくのが一番手っ取り早いだろう?」 「…………っ、えうう……」 確かに、式神や付喪神に知られるのは恥ずかしい。 形跡を消すのが一番なのだと言われれば、色事に疎い咲良には返す言葉がない。 …………と。 なんとなしに視線を下に落とした所で気がついた。 服地を通して伝わる守弥の熱を。 「あの……、守弥さ……ま?」 「ん?」 「わたくしの腿に当たるのは、なんでございまするか……?」 「…………っ!」 余裕を見せていた守弥の表情が少し変わった。

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