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「咲良、もう一度言うぞ。 お前が俺の対の姫だし、皆が認めてる。 うちの人間みんながお前にめろめろなんだぞ。 誰も異論は絶対出ない。 出るわけがない」 「でも……っ、分家の皆さまはどうなさいます……? この痣は不吉の印……。 わたくしに良い印象を持たれてはおりませぬ」 「分家の奴等が何を言おうと、本家の言い分が最優先される。 史朗一人が騒いだからといって、お前の立場は少しも揺るがない」 「……………んぅ…っ」  間近にあった唇が、こめかみに触れる。 それだけで華奢な体は熱を帯びていく。 「こうして触れてることを、咲耶にしたらお前はどんな気持ちになる? 考えてみろ」 「…………っ、……っ」 その言葉に胸がギシギシと軋む。 こんなふうに守弥が愛しげに唇が触れる相手を、自分ではなく咲耶にするなんて……。 「……………………っ、……っ」  …………嫌、……嫌だ。  「…………っ…………。 本来の……対は咲耶…………。 ……………………なれど……、なれど……っ、咲耶と守弥さまが愛しげに触れ合うと想像するだけで……っ、わたくし……、わたくし…………っ、気がふれてしまいそうになりまする……っ」 「俺もだ。 お前がきょうだいの誰かと愛しげに触れ合う場面になんか遭遇したくない。 触れる相手は俺だけにしてほしい」 「…………っ、…………っ」 チュ。 守弥が言い聞かせるように啄み。 チュ。 応えるように咲良が啄む。 「俺が望む対はお前だ」 「んうぅ」 チュ。 「約定を交わそうか、咲良」 幾つも落とされる口づけと一緒に、守弥はポツリと呟いた。

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