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夢と現の狭間で意識がたゆたう。
互いに交わした甘噛み。
引きかけた熱が、ゆっくりと鎌首をもたげる。
「……っ、…………ん、ん……」
チュ。
「……ん、……っ」
額や瞼に口づけが落とされる度、咲良の呼気に甘さと熱が宿る。
チュ。
「んん……っ、ん、……ゃ…っ、や……っ」
嫌なのではなく、啄んで欲しい場所があるのだ。
「此処か?」
チュ。
「ん……っ」
軽く啄まれてフルリと身を震わせると、やわやわと下唇を守弥が噛んでくれる。
「……っ、ん……っふ……、んん……」
真似をするように咲良も唇を食むように返すと、守弥が目を細めて応えた。
「ん……っ、んん……、んぅ…………。
守弥……さま………、……き………」
角度を変えて深く重ねる。
「ふ……、……っ、ぅ……」
捩じ込まれた舌が、歯をかすって咲良の舌根を優しく突く。
ゆっくり根元から撫で上げるようにして、甘い吐息ごと舌を絡めとる。
「んんん……ッ」
触れるだけの幼いものしか知らなかった咲良に、漸く守弥が教えてくれた大人の口づけ……。
深い恋に落ちる喜びも、口づけも、その先も、総ては守弥が教えてくれる。
自分は守弥だけに染まっていけるのだ。
歓喜とほんの少しの怖さに身を震わせる咲良を、守弥はギュウギュウと抱き締めてくれた。
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