544 / 668
・
痕跡をつけぬように触れる代わりに、守弥はリップ音をたてる。
チュ。
…チュ。
「ん…っ、ぅ…」
内腿の柔らかい場所へ落とされる口づけに、咲良の熱はうねるばかりだ。
『そんな…、そんなに恭しく触れられたら…、うう…っ』
やわらかく触れ、確実に咲良の中の熱を煽る。
本当は自分だけが熱に浮かされてるのではないかと思う程に、守弥が落とす口づけには勝てない。
しかも、少しずつ位置がずれているような…。
「へ、?あ、あっ、ひにゃ…ぁっ」
際どい箇所にも落とされて、上ずった声が漏れる。
「あっ、そな…っ、そのような…っ」
「婚約してれば普通だ」
「でも…っ、ひあ…っ」
熱を帯びて昂った花芯のすぐ脇に落とされた口づけ。
「え、え…、そ…な…っ、やっ、ゃ…っ」
まさか、いくらなんでも有り得ない。
やんわりと手で包まれたそれに、守弥の唇がそっと触れるなどと…。
「いっ、いけませぬぅ…」
「何でだ?」
「そな…、そのような場所に口づけるだなんて…っ」
「婚約していれば普通のことなんだが」
「いけませぬ…っ、そんな、綺麗な場所ではありませぬのに…っ」
手で覆い隠そうとしても、既に花芯は守弥に捉えられたまま。
腰を捻って抜け出すこともかなわず、膝を閉じることも出来ずに守弥の頭を押さえようとすると、眉をしかめて困った表情を浮かべた。
「お前な…。
湯殿で隅から隅まで俺が綺麗に洗ったのに、汚れてる場所なんてあるわけないだろ?」
チュ。
恭しく触れながら、守弥がきっぱり言い切る。
「そういう意味では…っ、ひあ…っ」
手でやわやわと責め立てられるのとはまったく違う感触。
決して痛くはない。
だが、普段は引き締められた唇がそっと触れる度に、花芯には熱が籠る。
全身に稲妻が駆け抜ける。
「ぁ…っ、ぁあ…っ、お許しを…っ」
「大丈夫だ。そのまま熱に乗ればいい」
「でも…っ」
ジクジクと広がる熱はうねって咲良を追いたてる。
守弥が愛しげに触れるのも、恥ずかしくて仕方ないのに。
「お願いにございます…っ、どうか…もう…っ」
「もう少し触れさせろ」
「にぁ………っ!」
花芯の先が守弥の口に含まれた。
ともだちにシェアしよう!