546 / 668

咲良が零した熱。 それを守弥がそっと嚥下した。 「は…うぅ……」 達した余韻が残ってフルンと震えている体。 整わない息ではくはくとしながら、咲良が抗議の声を漏らした。 「…飲、んでは…嫌と…」 「すまんな。つい」 「いつか、…胃の腑に穴が開きまする…」 「こんなふうに俺を案じてくれるお前が溢したのに、穴が開く訳がないだろ」 「……ぅう…」 サイドテーブルに置かれた水を飲み、口元をぬぐう。 「さっきのは粗相じゃない。 渦巻いた熱が零れるのは寧ろ普通だ」 「なれど…」 「婚儀が終われば、俺の熱は全部お前の中に注ぐんだぞ? なら、お前の熱は俺が」 「………?」 「ここに注ぐんだ」 守弥は可愛らしい臍の下側を指さし、そこから人差し指を移動していく。 「正確に言えば、な。 ここで俺とお前が繋がる」 「ふえ…?」 其処は花芯以上に秘すべき場所。 「ここ…で…?」 「男同士はな」 「………」 「ここで繋がって俺の熱を中に注ぐ。 だから、咲良が零したのは俺が飲む。 対なんだから当たり前のこと」 「なれど…」 不安げな咲良の額に唇を落とす。 「大丈夫だ。 いきなり体を繋いだりは絶対にしない。 ちゃんと事前に準備するし、しっかり解してから繋ぐ」 「わたくしは、その下準備を覚えればよい…、と…?」 「いや。 そこは全部俺がする」 「ふえ…?」 「対の姫を甘やかして蕩かせるのは鬼の役目だからな」 「え、それ…は…」 室内の明かりをおさえ目にし、守弥が寝巻きの帯をほどいた。

ともだちにシェアしよう!