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「まぁまぁ、つもる話もあるだろうけど、半年でこれだけ背が伸びたのとか信じがたいだろうしさ、こっちで動画見ててくんないかなあ?
その間に着替えとか…ね?」
鼻血を垂らしながらニコニコする時雨にドン引きしつつも、すっかり毒気が抜けた咲耶は大人しく居間へ歩いて行った。
「いやいや、なかなかの台風じゃったのぅ」
「細っこいのに、あんだけの暴れっぷりとはなぁ」
「ゴリラかと思ったなぁ」
「ごりごりのゴリラじゃった」
「鬼夜叉もかくやじゃ…ぶるぶる…」
吹っ飛ばされた扉を立て掛けながら式神と付喪神がぼやいている。
「じゃが、さっすが咲良だべ!」
「んだんだ。すっかり毒気抜いちゃったしなぁ」
「時雨なんか、『いやーエロいわ~。尊いわ~』って鼻血ダラダラ流してたしなぁ」
そう。
昨夜のあまあまラブラブの影響が残っていた咲良は、色香駄々漏れの状態で起き上がったのだ。
はだけた胸元はかろうじて守弥が袷を直したことで何とかなったが、太腿が少し見えてしまっていた。
そこに、咲耶が袷をガバッと開いた。
「なんかな、気だるげ~な感じの咲良も可愛かったのぅ」
「んだんだ」
「はふぅんって息ついてなぁ。
ほろ酔いみたいな感じでこう…イケナイ雰囲気てんこ盛りじゃったなぁ」
「ええのう」
「エロくて可愛いのう」
「滾るのう」
ほけほけと笑いながら片付けている付喪神達。
間違えて踏んづけてしまわないようにしながら、守弥と咲良は着替えを済ませる。
まだ足取りが少し危なっかしいが、冷たい水で洗顔をして目が覚めた咲良は、姉を止めようとしてくれたり片付けを手伝ってくれた神職や式神、付喪神達に丁寧に御礼をのべて居間へ向かった。
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