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市内へ降りる道路。 いつもの道の駅の前を通過し、幹線道路へ抜ける。 「………?」 守弥の愛車に乗った咲耶も何となく気づいた。 朝方、自分が通ったルートとは明らかに違う。 「まさか……っ、あんのクソジジイ…っ!」 「………どうしたのですか、咲耶…?」 「なんか変だと思ったのよ! よくも…!あのジジイ許さん…っ!」 「咲耶、落ち着いて…」 「まぁまぁ、抑えて抑えて…」 「で・き・る・か!」 おろおろとする咲良と怒気を露にする咲耶。 走行中でどうにもできず、助手席から時雨が声をかけた。 「頼むから、今は堪えてくれないと…」 「咲耶、何があったのか分かりませぬが…」 「…色々思うこともあるだろうが、この中で暴れるのだけは抑えてくれ。 咲良も乗ってる」 バックミラー越しに守弥も釘をさす。 隣に座る咲良が一生懸命宥めてはいるが、いつ咲耶が爆発するか考えると胃が軋みそうだ。 「わ、………分かってるわよ……」 怒りの持って行きどころがなくてどうしようもないが、車の中で暴れるのは良くない。 咲耶は心を落ち着けることにひたすらつとめる。 「咲耶、これを」 「……?」 咲良が傍らの鞄から包みを取り出す。 そこには半透明のゼリーのようなものが幾つもあった。 「飴?ゼリー?」 「中間のようなものです。 お1ついかがですか? 甘いものは心を落ち着けてくれます」 「…あ、…ありがと」 その中の一つを摘まんでみる。 「綺麗ね、これ。 水色…青…紫…グラデーションが入ってる」 「琥珀糖というのだそうです。 甘くて美味しいですよ」 「ふぅん…」 甘い。 嫌な甘さはなく、怒りをほどいていくようで。 「おいしいわ…」 「良かった…」 ふんわりした笑みは、幼い姿の頃と変わらない。 今は中性的な雰囲気になってはいるが、これではどちらが男子か分からない。 何となくモヤモヤしたものを感じながらも、咲耶は怒りを抑えることにした。

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