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「いいなぁ…。
俺も咲良の琥珀糖食べたい…」
「………我慢しろ」
「えええ…。
食べたい食べたい食~べ~た~い~ぃぃぃぃぃ。
咲良お手製なんだよ?
食べたくない訳ないじゃん。
琥珀糖~、咲良の琥珀糖、俺も食べたい食べたい食~べ~た~いぃぃぃぃぃぃぃぃぃ…」
ハンドルを握る守弥も咲良が手作りしたものを食べたいのは同じだ。
いや、大事な番が心をこめて作ったものならば、誰にも渡したくない位なのだが…。
「…咲良、時雨に一つ渡してやってくれ」
「あっ、はいっ、時雨さま…どうぞ…」
時雨の掌に懐紙を乗せ、星空を切り取ったような塊を幾つかその上に置く。
「ありがとう咲良~っ!兄さんも、はいっ」
「おう」
「あああ…、うまいぃぃぃぃぃ」
一つ含むと、上品な甘さが口の中に広がった。
「咲耶、もう1ついかがですか?」
「あ、うん」
今度はピンクと青のグラデーションの粒だ。
「………おいしい…」
「良かった。
瓶詰めにしたのがあるのです。
咲耶に一つ渡しておきましょうね」
「あ、ありがと」
掌に乗る大きさの瓶の中には青系や紫、ピンクなどの粒がぎっしり詰まっている。
瓶自体も無機質なものではなく、ヨーロッパの雑貨屋にあるようなお洒落なものだ。
「甘いものを食べている時は眉間にシワを寄せてはいけませぬよ。
可愛らしい顔が台無しになりまする」
ニコニコしながら咲耶の眉間を指で触れる。
「ふふ…。
これで大丈夫ですね」
おかしい。
こういうふうに宥めるのは、本来女子である自分のはずだ。
『やばい…。
あたし、ホントに女子力でかなり負けてる…』
「………?」
目を泳がせる姉に、咲良は小首を傾げた。
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