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初めて見る咲良に、弟妹達は目をぱちくりさせた。 「え、ちょ…っ」 「まって、むっちゃカワ…っ」 「うそ、咲耶ちゃんより女子!」 最初は恐る恐る、徐々に慣れていき、弟妹たちは咲良の傍にぴったりくっつく。 恐ろしい伝承や黒い痣の話もあり、名前に見合わぬ怖い容貌をしているのではないかと思っていたのに、実際は女子と見紛う可愛らしさだったのだ。 しかも、お土産のバスケットの中身の半分近くを作ったと聞いて、弟妹達は感嘆の声を漏らした。 「何食べてもおいしい…」 「フルコースの料理みたいに綺麗…っ」 「料理の先生みたい」 「女子力!ってこういうことなんじゃ…」 「どっちかって言うと、咲良ちゃんの方がお姉ちゃんって感じ…」 「咲耶ちゃんの中身、おっさんだし」 「暴れん坊のおっさんな15歳ってどうよ」 「ひ、ひど!」 次々上がる声に、流石に咲良もフォローを入れる。 「七歳までは性別を入れ替えて生活していたのもあると思います。 春になれば高校生になりますし、今までの咲耶とは違ってきますよ」 「そうかなぁ…」 「新しい人間関係や心の変化もあるでしょうし、大事な方が出来れば、きっと…」 「お姉ちゃんに?」 「大事な人?」 「ええ…」 どうだろうか。 感情の起伏が激しい姉に、そんな存在が果たして出来るのだろうか。 「出来まするよ…。 かけがえのない方と出会えば、人の心は大きく変わりますゆえ」 「「……………」」 生まれてからずっと家族と離れて暮らしてきたのに、ひねたところは見当たらない。 咲良の言葉を受け、きょうだい達は咲耶を見る。 「本当の咲耶は、周りの人を大事にする優しいお姉ちゃんです。 ちょっとだけ不器用なところはありますが、わたくしにしてくれたように、皆のことも大事に大事にしてくれている筈ですよ。 ね、咲耶」 「え、あ……、そ、そっか…な」 弟にニコッと微笑まれて、咲耶はピキッと固まってしまった。

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