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◆◇◆ 守弥が咲良を宥めている間に時雨はバスケットを車に積んで来た。 「………あらら…、もしかして寝ちゃった…?」 「あ、ああ…」 ソファーに座って宥めているうちに、守弥に凭れて寝入ってしまったようだ。 そっと体勢を変えて向かいあわせの形で守弥の膝に乗せる。 「………んぅ…」 いつもと同じようにぴったりくっついた体勢に安堵したのか、寝息が深くなった。 「さくらちゃん、寝ちゃった」 「可愛い…」 小さい子供が親にくっつく体勢と守弥の服をキュッと掴む手。 咲良が片時も離れたくないと想う相手は守弥で間違いないのだと、春日の家の皆が理解した。 「ほら、寝なきゃいけない時間でしょ。 今日は帰るかもだけど、また来てくれるって言ってたんだし」 「う、うん…」 「また、来てくれるんだよね…?」 「ああ。ちゃんと連れて来る」 「安心して。大丈夫だからね~」 「はーい…」 「おやすみなさい…」 弟妹たち四人は名残惜しがったが、咲耶が部屋に連れて行った。 「もう、てっきり鬼に食べられてしまったと思っておりました…」 「なのに、あの幼い姿からこんなに成長した姿になっていたなんて。 今も信じられないくらい…」 「ひねくれた所もなく素直なまま育っているのも、皆さんのお陰です。 本当に…なんとお礼を言ったらいいのか…」 「そんな、俺たちは大した事はしてないんです」 「素直で優しいのは、生まれ持った性質だと思いますよ。 俺が火傷をした時も、真っ先に冷やそうとして手を引いて走ってったくらいです」 「まぁ…っ」 「幼い見た目であった時も今も人を思いやる優しさは変わってないと思うなぁ。 お姉ちゃんの小さい頃の記録が見たいと思ったのも、写真でしか見たことのないきょうだいに会いたいって思ったのも本心だし、でも兄さんと離れたくなくて戸惑っちゃったって感じかな…」 一緒に暮らすことが出来なかった家族にいつかは会いたいと願っていた。 拒否されることなく受け入れてもらえた。 咲良にとってとても嬉しかったのは間違いないのだ。 「……もしかして…あの日、咲良を迎えに来たのは」 「俺です」 「角は無いけど…間違いないのね?」 「はい。 咲良が着けていたように、俺も面を着けていました」 「そうですか…」 「花吹雪が逆巻いた時に大事にするという声が響いて、生け贄を大事にする鬼がいるのかとびっくりしたんです」 「…こちらでは生け贄、あちらでは姫乞い…要は花嫁を娶る意味合いでしたから…」 「花嫁…。 それは元々咲耶であったということ…?」 「ですね…。 でも、身代わりとして来たのが咲良であったからこそ成立した関係というか…」 「………?」 本来の花嫁ではない咲良だからこそ成立したとは…? 両親にとってそれは一つの疑問だった。

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