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「この可愛らしい見た目だからと、咲良を女性の代用として捉えている訳では決してありません。 ………実を言うと、俺の恋愛対象は女性では無いからです」 「…え……?」 「二人ほど女性と付き合った事があるのですが、どちらも1ヶ月と持ちませんでした。 友人としてなら大丈夫でも、それ以上の関係を越えるとなると無理があったんです。 どうしても抵抗があって」 「あらら…」 姫として迎え入れる際にネックになったのはそこだったが、女子であったとしても大事にするつもりでいた。 自分が石になる公算が高かったが、そうなったとしても対の行く末はしっかり保証できるように手だてもしてもいた…。 「これも偶然になるんですが、俺たちはそれぞれ命のタイムリミットを抱えていました」 「………?」 「咲良は家族の災難を引き受けることで残りの命数が少なかったのと、俺自身もあと数年という状態でした」 「え………?」 「それは……」 「当初の予定どおり咲耶が来ていたとしたら、俺も咲良もそのままタイムリミットを迎えていたと思います」 「「………」」 守弥の言葉に、両親の血の気が引いていく。 「タイムリミットって…今も…?」 「いえ。 今は完全に解消されています。 咲良が削り続けた命数は補填され、俺が抱えていた寿命についても」 「………」 「身代わりとして嫁いだのが咲良だったこと、男子であったこと、お互いがタイムリミットを抱えていたこと…。 それらの条件が偶然揃わなければ、今の俺たちは無かったと思います」 「それは…どうして…?」 「俺の命の核のような物が、偶然ですが咲良の中に隠れていたんです。 その核が俺の中に戻って寿命が補填され、結果的に咲良の寿命も補填されました」 「補填…された?」 「はい」 此方での伝承がすり変わっていた。 姉を生け贄にしたくないと、咲良は身代わりを引き受けて界を渡った。 守弥の恋愛対象が男子であった。 偶然と偶然が重なり、半年という短い期間に咲良が成長していき、二人の心が通じあって石の試練を越えることができた。 結果、今はもう二人が死に直面しているわけではないと聞き、両親は安堵の息をもらした。

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