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百年、二百年どころではなく、遠い遠い昔の事を守弥と時雨はかいつまんで説明していく。
起源の咲良と咲耶が双子であったこと。
今と同じように香久良(咲良)が家族と離れて暮らしており、存在自体が隠されていたこと。
護矢比古と出会い恋をしたこと。
そして、何故咲良の中に守弥の魂魄の核が紛れる事になったのか…。
「そんな濃い呪いを…?」
「はい」
「体表に蛇が巻き付くような禍々しい模様が浮いてくる程の濃いものでした。
牢を破って香久良を担いで走って…。
限界を迎えた護矢比古もろとも香久良は刺されたんです」
「………っ」
「呪いを引っこ抜こうとしてる最中にとどめを刺されてしまったことで、呪いの塊ごと魂魄の核が香久良の中に取り残されてしまって…」
懐胎した子もろとも殺されねばならない理由などない。
そのような酷い話があっていい筈がない。
戻ってきた咲耶は両親の傍に座ってあまりの惨さに眉根を寄せる。
「そこから咲良の長い長い旅が始まりました。
ずっと神仏に関わる人生を歩み、呪いを薄め続けてきた…。
離れ離れになっていた姉とともに再び双子として生まれるにあたり、お母さんのお腹の中で咲耶から心疾患を引き受けた…」
「どうして…」
「なんでそんなことを…」
「一番最初に怖い思いをさせてしまったお姉ちゃんへの償いだったようです」
「………そんなの、気にしなくていいのに…。
だって、怖い思いをしたなんて覚えてなんかいないんだもの…」
確かにそうだ。
遠い昔のことなのだから、誰も覚えてなどいない。
「それでも、咲良はお姉ちゃんを助けたいと思った。
病気を引き受けた代償を無意識に呪いとぶつけて相殺した」
「相…殺…?」
「その相殺の結果として生じたのがあの痣です」
「「…………っ!」」
あの黒い痣はそうして出来たのだと知り、更に両親と咲耶の顔色が青くなった。
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