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とんでもない呪いを解呪して咲良の寿命の補填が完了したのが昨晩の事…。 ほぼほぼ空になった霊力が戻るには暫く時間がかかると時雨がフォローを入れる。 今朝がた咲耶が本宮に殴り込んだ時にふらついていたのもなんとなく頷けた。 「ホントに…無茶すんだから…。 ………ん?」 呪いの解呪…寿命の補填。 咲良が言っていた「一ヶ月ほど離れていた」という言葉。 「ちょっと待って。 さっき咲良が一ヶ月くらい離れてたって言ってたのもその呪いとかに関係あんの?」 「………」 一瞬、守弥と時雨が固まる。 「あんのね? ちゃんと話してくれない?」 「……姫乞いの儀の試練が発動して、俺が石になりかけたのを咲良が引き受けようとした」 「………で?」 「俺の魂魄の核がある心臓に呪いが達する瞬間に咲良が呪いの流れを自分に向けた」 「うん」 「心臓に呪いがぶつかって、ありったけの霊力と核が咲良の中から弾き飛ばされて俺の中に」 「んで?続きは?」 「核が戻ったのと霊力が流れ込んだことで俺の寿命の補填がされ、代わりに咲良が石になったって形に…」 「「……………」」 今度は両親が固まった。 剣呑さを帯びた目で咲耶が促す。 「なるほど。咲良が身代わりで石になって……んで?」 「体から弾き飛ばされた魂魄の状態で、一ヶ月ほど俺の傍にいた…と、本人が」 「……………」 「………」 「つまり昨晩までの一ヶ月、魂のまま本宮の中にいた。 ありったけの霊力が無くなって誰にも見えない状況だったから、ずっとアンタ……いや、守弥の傍に張り付いていた、と」 「そういうことになります」 咲耶の目が更に爛々と輝いているのは気のせいか…。 守弥と時雨の背中は氷塊が滑り落ちているかのように冷たい。 「昨日の夜に咲良の寿命が補填されたってことは、何かあった訳ね。 はいはい、続きを話して」 「隠し宮の宮司さんが起源……最初の咲良にに繋いでくれて、咲良が通ってきた時間を辿って集めた痕跡の変換したものを、削られた寿命として補填した形になります」 「……通ってきた時間って、どのくらい…?」 「ざっと二千年…」 「………二千? 百年単位じゃなく?千?」 「………二千年分に」 「そりゃ…」 「すり減りもするわね…」 両親もさすがに眉をしんなり寄せて呟く。 「命をかけちゃうくらいだから心底好きじゃないと出来ない。 んで、弾き飛ばされて一ヶ月張り付いててもその相手には自分が見えてない…。 ………そりゃあたった一晩のお泊まりも無理だわ…。納得…」 がんがん痛む額を押さえて咲耶が呻くように漏らした。

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