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「見た目が浮き世離れしてたし、ずっと小さい頃の姿のままだったから……。
今こうして成長しても誰かを好きになったりするとか考えてなかったわねぇ…」
「そうだな。
まさか…そこまでの時間を一人の相手に費やしてしまうくらいに好きだったとなれば、致し方ないとも…」
「最初から最後まで遡って拾ったってことは、その術だって安全とは限らないでしょうよ…。
どっちも命懸けって、どんだけよ…」
たった半年。
起源の二人の関係もあっただろうが、その短い期間でお互いに命を懸けてしまうくらいには思いを通わせていたということになる。
「………あなたも咲良に愛情を向けていると思って良いんですね…?」
「はい」
「あの時に言っていたように、大事に慈しむと…?」
「はい」
「もう命懸けの無茶をやらかさないように、しっかり繋ぎ止めてくれる?」
「それはもちろん」
生まれて間もない頃から離れて暮らし、漸くなんの障害もなく傍にいられるかもしれないと思った長男だが。
生け贄になりに向かった先でその鬼と心を通わせ、互いに離れがたくなる程の関係を築いていたとは…。
「確かに、法律上同性との婚姻も認められているから、なんの障りもないな」
「大事にするって約束も絶対守ってくれそうよ」
「無茶やらかさないようにしっかり見張ってくれるって言ってるし、これって二度とないことなんじゃ…」
「父さんはまたとない良縁だと思う」
「母さんもそう思うの。咲耶はどう?」
「え、異論なんかこれっぽっちも無いわ」
三人が目配せをして同時に頷き、向き直った父が守弥に頭を下げた。
「…という訳で、どうぞうちの長男をよろしくお願いいたします!」
父に倣い、母と咲耶も頭を下げる。
「………!は、はいっ!
こちらこそ、よろしくお願いいたします!」
反射的に守弥も応えた。
『すご…。
後日改めて結婚の挨拶に来る予定だったのに、もう申し込み済んじゃってる…』
すよすよ眠る咲良をよそに、兄が花嫁側の両親の承諾を得る現場に居合わせた時雨。
『手間は省けてるけど、姫乞いの儀とか石になってたこととか疑問に思う事は山ほどあるだろうけど、ここまですっぱり承諾するって………思い切りいいなぁ…。
俺も見習わないとね…』
サクサクっとばあ様に「なんかね~、結婚の申し込み済んじゃったよ~。ほぼ快諾って凄くない?」とLINEを打つと、秒で既読がついて返信が来た。
「なんてぐっじょぶなんだい!」と…。
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