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「お姉ちゃんみたいにカッコいいと言われたいって言ってた事がある。
外宮の家の庭にボルダリングの壁があるんだが、オーバーハング気味の所を克服したいとか言ってたな。
咲耶なら軽々行ける筈だと」
「………あたしをどんだけのヤンチャ娘だと思ってんのよ。
多分いけるけどさ」
「行けるんかい…」
サラッと言い切る咲耶に、小さな声で時雨が突っ込む。
「もしかして姉弟で木登りとか得意なのかな?
咲良が本宮の一番大きい欅の木に登ってそのまま昼寝しちゃうとかあったんだけどさ…。
結構アクティブなとこあるよね~」
「………あれはさすがにばあ様も慌ててたな…」
「あばばばば…って。
珍しいよね、ばあ様が慌てるって」
「………ええええええ…。
嘘でしょ、そんな事する訳?」
「意外だよねぇ、ホントに」
自分が寝入っている間に意外な一面を姉や両親に披露されてるなどど気づいてはいないだろう。
座席に降ろされシートベルトをかけられてから、瞼が少し動く。
「んぅ…?」
「いいよ、まだ本調子じゃないんだからさ。
しっかり体力とか戻ってからまた顔を出して。
みんな待ってるから」
「ぇう…………しゃ…」
薄目を開けて手を伸ばす。
「ん?」
「多分、指切りしたいんだと思う」
「………そっか。約束ね、うん」
隠し宮にいた頃と同じように指切りをする。
「律儀なとこは変わんないのねぇ」
「お母さんも指切りしたいわ…」
「父さんも…」
「んに…」
両親とも指切りをする。
「ありがとうね、咲良」
「また日を改めて会おうね」
「ひゃい……っ」
また訪れることをしっかり約束して、車は春日の家から出発した。
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