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物憂げにため息を漏らす。 「おやおや…なんと弱気な」 「ふええ!?」 空中にニュッと生えるように宮司がいた。 「しっ、心の臓に悪うございまする…っ」 「ふっふっふ。 これくらいで驚いていてはいけませんねえ」 ニヤニヤと笑いながらもひょいと空間を乗り越えて庭に降り立ち、捲れた部分を戻して綺麗に切れ目を縫い止める。 「ほぅら、これで大丈夫」 「もう…」 小さなほつれも無いほど綺麗に縫いとめられた切れ目。 そういえば宮司も鬼の血を引く人であった。 「学習面や学力について、何も問題は無かったのでしょう? 何が不安だと…?」 「う…、あ…、その……。 同年代の方々に馴染んでいけるかどうか、不安なのでございます…」 「………」 「わたくしの髪も目も周りの方と色合いが違いまする。 悪目立ちせぬものかと…」 「ふむ…。 確かに一般の皆さんとは色合いが違いますねぇ」 「そうなのです…」 身の丈と同じくらいに伸びた銀髪と緋色の瞳。 黒髪黒瞳の一般的な日本人の中では浮くこと間違いなしだ。 「特に問題は無いと思いますがね」 「………なにゆえ…?」 「あの学園都市には多くの留学生がおりますし、慣れてしまえばなんの問題もありませんよ」 「………! まことにございますか!?」 「ええ。 髪の色も目の色と肌の色も様々な学生が沢山。 咲良さんのような銀髪や緋色の瞳も珍しくはありません」 「………良かった…」 ホウッと胸を撫で下ろす咲良を見て、宮司は内心「私が手塩にかけて育てた愛弟子を軽んじたり疎んじたりする輩がいるなら、密かにお仕置きしておきますし。なぁんの問題もありませんよ。ふっふっふ…」と呟いていたことは内緒だ。

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