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「天赦日(てんしゃにち)と一粒万倍日(いちりゅうまんばいび)と大安が重なるこの日が、一番いいとばばは思うよ」 「ですねぇ。 良い縁起が重なる日が年明け直ぐにあるなんて、咲良さんはホントに引きが強い子です」 「一年に数回しかないたいみんぐだからねぇ。 良かった良かった」 ばあ様と宮司はニコニコだ。 「そうそう。 今年はその年に数回のタイミングがもう二回ありますねぇ」 「そうだねぇ。 ここが結納で、ここを結婚式に仮で押さえておこうかねぇ」 タブレットのスケジュールに印を入れてホクホク顔のばあ様を見て、雲外鏡と屏風覗きが感心する。 「すごいのう…。 今年の前半に三つって、さくらはホントに引きがいいんだなぁ」 「わしらも楽しみじゃて」 「花嫁姿のさくら、かんわいいだろうなぁ」 「どんな衣裳にするのかのう」 「楽しみじゃ…。 衣裳合わせも激写せんと」 「おおおおおお…っ!」 「爆萌えするのう」 「滾るのう」 断髪だけではなく結婚式までの一連の流れも激写チャンスだ。 付喪神達がきゃわきゃわしている。 「最大容量の記録媒体を注文しとかないとねぇ。 音が静かな小型ドローンも届いてるし、ばばも激写チャンスは逃がさないよ。 ふっふっふ…」 「おや、おばあ様もなかなかやりますねえ。 何処のメーカーなんです?」 「ここのこれだよ」 「なんと…!」 沸きに沸く一同。 「わたくしの髪を切るだけですのに、そのように大袈裟になさらなくとも…」 「今まで髪を伸ばした姿しか見たことないからな…」 「短い髪の咲良ってどんなだろうって、皆気になるんだよ。 何だかんだ言って、結局可愛さ爆裂の咲良が見たい訳だし」 「そんなに変わりばえいたしませぬのに…」 「まあまあ…。 どちらの家も初めて学校に通うのを案じていたのは分かっていたでしょう? 準備が整うのを見届けて安堵してもらうのも大事ですよ。 勿論、隠し宮の方にも中継するのですし」 「………まさか…」 「うちと春日の家族立ち会いって事だろうな」 「……………」 思った以上におおごとになっているようだ。

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