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「………もうすぐ約束の時間だな」
守弥が傍らに置いてあるパソコンを手に取る。
鬼夜叉と呼ばれる荊櫻には六人の子供がいる。
次男坊はメカの専門家で、今、ばあ様とリモートで話をしている。
守弥が立ち上げたパソコンの画面に映ってるのは、長男の方だ。
『こんばんは~』
「こ、こんばんは」
『俺、瑠維(るい)。よろしく。
へえ…、母さんが言ってた通りだ。
綺麗な髪してんね』
「え、えう…、さ、咲良と申します。
よろしくお願いいたしまする」
守弥より3歳ほど年上と聞いていたが、少し華奢で表情も豊かな青年だ。
守弥も挨拶をする。
『あー、うん、画面越しだけど、なんかこう小動物っぽいね。
目がくりっくりしててちょいタレ気味。
鼻筋通ってて唇ふっくりかぁ。
鬼の好みにバッチリ。
隣にいんのが旦那かな?』
「あ、は、はい…」
画面越しにジッと見られる感覚に、なんとも落ち着かない。
値踏みされてる訳ではないが、ここにはいない鬼夜叉に魂まで診られているようなザワザワした感じがする。
『……あんたさ…溺愛しまくりたくて、めろっめろに甘やかしたいだろ』
「……っ」
『でも、対を困らせたくなくて、人目を憚らずイチャコラするとか、結婚までは大事にしておきたくて一線越えるのは一生懸命我慢してるって感じ』
「………」
何故だ。
画面越しで何故分かる…。
『んで、そんな鬼の溺愛っぷりに応えたいけど、どう応えたらいいか匙加減が分かんないって感じかな』
「……っ、ぅ………」
『なんかさ~、周囲から見たらもどかしいんだよね、それ。
いつもイチャラブしてたら単なるバカップルだけど、適度に…スキンシップ取るくらいしちゃっていいんじゃないの?』
「………やはり、触れた方が良いのでしょうか…」
『多少はね』
「守弥さまにとってご迷惑になりませぬか…?」
『なんないよ。
ただ隣に座ってるだけじゃ物足りないだろうし、旦那が胡座かいてるならそこに座ってやんなきゃ』
「ふええ…?」
『ほらほら、すぐ実行!』
「はっ、はい!」
あわあわと慌てて胡座をかいた足の間におさまる。
『そうそう。
んで、収まって貰ったら、腕を回してやるの』
守弥も慌てて腕を回す。
『どう?しっくりしてない?』
「「………」」
確かに。
この体勢はしっくりくる。
『ご飯食べる時とかは仕方ないとして、寛いでる時のポジションの一つとしておく』
「は、はい…。
それで、わたくしはどうすればよいのでしょう…?」
『ん~?
旦那のしたいようにさせんの』
「ふえ…?」
『今、周りに誰もいない訳じゃん。
ああもうじれったいなー。
実例見せた方が早いよコレ。
ほら、こっちこっち!』
瑠維が画面の外へ呼び掛けて、慌てて二人の男性が入ってきた。
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