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一方、湯殿に連行された咲良は。 「そんなに冷えておりませぬのに…」 「駄目だ。 しっかり温まらないと」 「ふええ…」 守弥に後ろからガッチリとホールドされて、湯船に浸かることになった。 「うう…」 「もうちょっとな。しっかり温まれ」 「ふええ…」 「ま、その…」 「………?」 「いつもは玄関だったからな…。 迎えに出て来てくれて、嬉しかった」 「………っ!」 いつもは玄関で三つ指をついての出迎えだった。 長い髪が流れ落ちるのが綺麗で、大学に出向く日は寒い廊下で長い時間待たせないようにと急いで帰っていた。 「あまり待たせないようにするのが一番いいんだろうが…」 「………?」 抱える腕に力が籠る。 「取り敢えず、早めにモコモコしてて温かいアウターを買いに行こう」 「は、はい…っ」 「買い物ついでに、クラゲも見に行こうか」 「………っ、はい…っ!」 まだ幼い容姿であった頃に行った水族館。 今度は恋人として一緒に行ける。 「嬉しゅうございます…っ、………っふ、ぅ…」 首筋に熱を帯びた唇が落ちる。 軽く啄んでから、…はくんと柔く噛む。 「はう…っ」 そして、そろりと舌がなぞっていく。 反対側の首筋も。 「噛み返してくれるな?」 「はい………っ」 緩められた腕の中、向きを変えて咲良も守弥の首筋をやわやわと噛んだ。 咲良が守弥を出迎えた動画には、瑠維の伴侶達からもコメントがついていた。 『やるねぇ。旦那、めろめろじゃねえか』 『あざとさの欠片もない所が萌えですね。 いいですよ。これ、これがいいんです』 …と。

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